置き土産は懐中時計
ここひと月イッシーとの別れを惜しむように多くの人が畑仕事を手伝いに来てくれた。
昼飯も大変なので一升炊きの電気釜とおかずを持って昼から鍋などを突っついたりして少しでも話せる時間を作った。
イッシーがいるうちにビニールハウス2棟を解体し井戸を掘ったハウスの横に並べる大仕事を計画していたが、みんなの協力で見事に8割がたこなしてしまった。
31日の最後の晩餐の翌日、木枯らし1号が吹く真っ青な空のもと、片付いた元ハウス後をトラクターをかけきれいな畑に戻した。
本格的な野菜作りを志しイッシーと2人で建てたはじめてのハウス、昨夜の酒が残りきつかったが意地でも元の姿に戻したかった、けじめをつけたかった。
木枯らしなのに妙に暖かくまさにイッシーのような風だなとか考えながら、ともかく心が落ち着かない。ただすーごーくいい分かれ方ができたね、とマサとしみじみ、それもこれも1年も前に大分に帰ることを話してくれたことが最大の要因、でも一年ってあっというまだった。
あのバカ懐中時計をプレゼントしてくれた。
あいつも懐中時計を愛用していた。
時間にルーズがちなので何度も腕時計を進めたが頑固、そして俺も使えって。
本格的帰郷は月末くらいだしまだ会える、うん、イズとの新婚生活を気張ろう。