農薬は胃を逆流する
除草剤を初めて買った。
請負田んぼの爺さんより除草剤散布の確認の電話があった。
最初から化成肥料と除草剤を使用してくれとのことで、こりゃあ楽でいいやと引き受けたが、面倒な堆肥を散布し、水のたまり具合や草のはえ具合をみて、ちょっと除草機をかければ何とかなると考えていたが、確認の電話までかかってくれば農薬を播かざる得ない。
そのほうが確実に収穫量を確保できるのだし、請負価格も増やすことはできないのだから。
でもホームセンターの薬棚の前に立つこともイヤだった。
泥だらけのヒゲは目立つし、変なうわさも怖い、いい訳を考えるだけでも吐き気がした。
レジで後のおばさんが「オルトラン持って来たぁ」とおやじに声をかけていた。
みんなにとっては風邪薬みたいなものなのに、俺にとっては原爆を落とすみたいな気分であり、
その落差にさらに愕然とした。
地球全体の環境を良くするために、耕さない、無肥料や植物にも菜食を進める農法を都会人はすぐ考える。
街と村を結ぶ役を自認して二十年生きてきたが、その役割の重さに圧倒された日であった。
明日農薬を播く。
今夜の酒はまことに身体に悪い。
マスクはどこだ。