おめでとう さん
卒業式の間、一度も頭を下げなかった。
みんなが礼をするたびに、ぴょこんと桃太の頭が飛び出ていた。
手はポケットの中でちょっと斜めに傾いたつっぱりスタイルだ。
証書授与の為校長の前に出たとき両手を出し何気なく受け取り、礼もせず、すぐに片手をポケットに突っ込み下りてきた。
最後まで権威に突っ張り続けた姿に感動した。
学校は好きだった。
卒業式の練習等には楽しそうに登校した。
式に来なかった不登校の十数人を心配していた。
制服のボタンは全て女の子たちに取られたそうだ。
良かったね。
今日も寒い雨の中文句も言わずに一日農作業を手伝ってくれた。
卒業式中お祝いでなく価値観の押しつけが何度も語られた。
いつもうんざりする。
北朝鮮とどこが違うのか、遊びきれていない環境の中で良い子を押しつけられた中で心はひずむ。
日の丸、君が代、お偉いさん、どれにも尊敬の心がわかない。
やめてくれ。
米作りの先生として招待された小学校でも配慮ばかりの形式が鼻についた。
子どもたちの顔をじっと見て「おめでとう」と笑顔で言うつもりだった。
みんなと目が合った。
「おめでとう さん」。
思わず「さん」がついてしまった。