黄金伝説
いつも東京に出ると脂汗と共に猛烈な便意をもよおす。
気が上がるのか、縮むのか、百姓生活とかけ離れた場所に戸惑うばかりでなんとも情けない。
十代の頃は鉄道マニアでSLを追い、山だ、コンサートだ映画だ、寄席だと誰よりも足しげく電車に揺られていたのに、車内で立っているバランスもぎこちなく、回りの人の絶妙の立ち姿に感嘆してしまうし、人の波を見るだけでおじけずいてしまう。
用を終え帰る時刻はいつもなら寝ている時間だ。
ひたすら我慢していると妙な会話が、「木の家にすんでねぇ、畑たがやしたりした良いんだ!)。」
と若い女性の会話が聞こえた。
古い文庫本を読んでる若者が隣りに、のぞくと古い農機具の開発や炊飯器と米の文化などのエッセイが書かれていた。
農的生活はけっこう流行されているんだとちょっとほっとした。
駅に迎えに来てくれたマサの車が見えた時本当にありがたいと思った。
日本人はつくづく働き者だなぁ、良く我慢しているしまじめだなぁと改めて感じた。
きっと突然に豊かで美しい黄金の国ができるかも知れないと昔と変わらぬ連結器の戸板を懐かしく眺めながら考えていた。
春の風がきた。
やはりお彼岸だ。