冥土のみやげ
国技館に着いたのは十二時前。
となりの駐車場が空いていて大助かり、何せ10mも歩くのに大変なばあちゃんが二人もいるのだから。
飲食物持ちこみ禁止の看板があり心配したが手荷物検査では弁当の風呂敷も何も言われず何とか席にたどりついた。
真ん中付近の桝席、力士のいきづかいが聞こえてくる。
四時頃まではガラガラで回りの空き席でゆったり観戦する。
時々力士が国技館に入場してくる出口に行く。
時間がたつにつれ上位の力士が来る。
付き人が増えてくる。
歩き方、顔つきも威厳が増してくる。
目についたのは着物だ。
二段目くらいまでは綿のぺらぺらだけど、
十両以上は絹の上物だ。
着物のファッションショーを見るようである。
もちろん行事も呼び出しも厳格に格の差を重んじている。
そのような世界は嫌いだったが、その様式美に圧倒され二千年の歴史を感じた。
六時間などあっという間だ。
朝青龍の振る舞いが問題になるが、しかたのないことだろう。
確かに強いが顔に風格が無い。
二十三才では難しいだろう。
くぎ漬けになったのは負けた瞬間の力士の表情である。
格式の中に素顔が凝縮された瞬間だ。
おかみさんの気持ちになる。